Billionair Who Wan't by Conor O'clery

The Billionaire Who Wasn't: How Chuck Feeney Secretly Made and Gave Away a Fortune

The Billionaire Who Wasn't: How Chuck Feeney Secretly Made and Gave Away a Fortune


 数週間前の朝日新聞の書評にあった本です。富を蓄積したのはいわゆるDFS(免税店)の世界展開で、その多くは日本人からもたらされたものです。戦後の復興期から高度成長期を経てバブル期まで津波のように増え続けた日本人海外旅行者が、ハワイや香港に観光ツァーで行くと必ず寄らされたDFSのシステムを作った人がこのチャック・フィーニーです。酒の免税という制度と日本のおみやげ文化がもたらした富でもあります。また、タックスヘイブンを求め税制を最大限に利用し、米国政府への納税が最小になるようにして蓄積した富でもあります。


 その蓄積した富を自らが設立した慈善団体に移し、生きているうちに使いはたそうと2016年までと期限を設けて活動しています。これまでに、アイルランドの大学やベトナム、オーストラリアなど自分の足で現地に実際に行って納得し、匿名性を保つことを厳格に要求し続けて寄付をしています。匿名性は90年代に起こされた訴訟などで維持できなくなったことなどから公表せざるを得なくなり、今では完全にオープンな財団として運営されていますが、彼の名前を冠した建物などは存在していません。


 前妻に全ての家と莫大なお金を渡した後は、賃貸のアパートに住み(といっても、殆ど飛び回っているそうですが)、70代の前半までは世界中をエコノミークラスで移動し、公共交通機関で行けるところはタクシーも使わないのは、対価に合わないからと考えているそうです。


 日本語で慈善活動という感覚とだいぶ違うような感じがしますが、こういった文化が育まれているところが参考になります。日本で財をなした人の話との相違が感じられるだけでも参考になると思います。五星ではないけど一読を奨めることが出来る本です。


 そうそう、この人ジョギング好きだそうです。これだけ僕と一緒かな?