構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌 竹中平蔵

構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌

構造改革の真実 竹中平蔵大臣日誌

 いわずと知れた竹中平蔵前大臣の話題の本です。一言でいって迫力のある本です。記憶に新しい政治的な出来事を中心人物が語るということ自体なかったことだと思います。勉強になることが多く含まれている本です。官僚の作る法案の微妙な文言で本来の趣旨をこんなに容易にまげてしまえることなどにも驚きました。郵政民営化の中で「完全民営化」と「完全に民営化」では意味することが違い、これだけで組織形態を官僚の都合の良いように温存することができると理解できている一般人はどれだけいるのでしょうか? 少なくとも僕は全く知りませんでした。


 批判する側の三つの単純なパターンというのもうなずけました。第一パターンはとにかく反対の立場でものを言う人、遅ければ遅いと批判し早ければ早いと批判する人をさしています。第二パターンは永遠の真理をかざして批判する人、「もっと皆の意見を良く聞いて」など否定のしようがないが具体的な議論がない人です。第三は理由なく相手にレッテルを貼って印象を植え付けて批判する人です。確かに、こんな議論をえんえんとする人はたくさんいます。


 また、小泉総理は誕生日に贈られた花束さえも受け取らず送り返させる人なんですね。一切のしがらみを作らずに自分の考えを通す姿勢は、利害関係の調整に明け暮れるいわゆる日本の政治家のイメージとはだいぶ違うようです。


 他にも、骨太の方針、三位一体、税制、不良債権など改めて位置づけや意味を理解することができる内容が多く、日ごろ政治に疎い僕などにはとても勉強になりました。本来ならば、その議論が起きている時に原文から自分の考えを立てることができなければいけないことですが、残念ながらそれとは程遠い自分を自覚してしまいます。