走ることについて語るときに僕の語ること 村上春樹


走ることについて語るときに僕の語ること

走ることについて語るときに僕の語ること

 サロマ湖100kmを走った作家というのは、まずいないでしょうね。にわかランナーの僕の手におえる範疇にありませんが、フルマラソンを何度も走るとこういう世界にいくのかもしれないですね。


 とても納得したのは、走っているときに何を考えているのか? どんな思考状態か?を描いた部分です。例えば、

 僕は走りながら、ただ走っている。僕は原則的には空白の中を走っている。・・・・・

や、

 走っているときに頭に浮かぶ考えは、空の雲に似ている。いろんなかたちの、いろんな大きさの雲。それらはやってきて、過ぎ去っていく。・・・・・・・

です。


 最近は、東京マラソンのためにゆっくり2〜3時間走り続けるLSDを週に1度やっていますが、その時の頭の中の状態は、まさにこんな感じです。先週の和紙マラソン(ハーフ)でも、良い天気の下で紅葉の中を、周りの景色を感じながら、考え続けるわけでもなく考え、いつの間にか違うことにうつり、自然を感じ、体の声を聞き、思考の雲が通りすぎていく時間を過ごしていました。